2024/03/27 23:11

深い夜の孤独


第一章 深い夜の孤独

子育てをしながら、看護師の仕事をもち、毎日奮闘している恵瑠42歳。
5歳と2歳の娘二人は、異常なほどのパパっこであり、それが助かる反面、やるせない気分になる時もある。

上の娘がやっと聞き分け良くなってきたと思ったら、次女がいやいや期。

二人ともパパが好きでたまらなし「ママは嫌!」と反抗するのだ

毎日、保育園、職場、買い物、保育園、そして家事が恵瑠のルーティーン。
時間に追われていると、ついついキツイ口調を発してしまうこともあるし

子どもがやっていることを遮ってまで、自分の行動時間に合わせてしまうこともある。

きっと、そんな毎日が子どもたちにとってストレスでしかないのだろう…と自分でもわかっているのだ。


パパはというと家事育児に協力的。いつも面白くて明るくて、太陽のような人だ。

恵瑠もそんな彼が大好きだし癒されていたはずなのに、最近はキャピキャピはしゃぐ娘たちと楽しそうにしている余裕の彼を見ただけでイライラしてしまうのだった。




土曜日の夜

パパにくっついて眠る娘たちをみていたら涙があふれて来た恵瑠。

マンションの窓辺から見える街の明かりが、キラキラと移ろいながら静寂さを感じていた。

肌寒さがあるテラスに出ると風が頬を触り、恵瑠の心までも冷やすかのように孤独感が湧き上ってきたのだった。


なんで、ママじゃないの?

なんで、わたしじゃダメなの?

どうして うまく行かないの?

どうして…こんなに頑張っているのに…



高層マンションから見える慣れた風景なのに

今夜は足を囚われてしまうような深い夜だった。