2024/04/06 19:37


深い夜の孤独 
第三章 自分への暴力、執着を手放す



チャンドラカフェの2階には 小さな階段を上がり中三階のようなまるでツリーハウスのような個室があった
そこから出てきた女性二人が気になった恵瑠は、店内を改めて見渡した。

後ろから出てきた香音に思わず声をかけてみた。

「どうしようもなく自分が落ちていく感覚になるんです。そんなネガティブなお話しても良いんでしょうか?」
「今、本を読んでいたんですが、孤独を受け入れるってわからないんです。」

香音は微笑むと数分後、ツリーハウスのような個室に案内してくれた。

緑一杯の小さなお部屋と奥の窓からは川も見え、それだけで胸が温かくなった恵瑠。
ふかふかだけど、しっくりハマるようなソファチェアとアダプトゲン入りハーブティーで迎えてもらえた。


ゆったりとした口調で、本を読むきっかけになったこと、今日はどんなスタートだったか、子どもと夫への想い、仕事のことなどなど少しずつ紐をほどくような感覚で話が進んでいった。
強い孤独感に苛まれた昨夜のこともこれ以上どうしたらよいのかわからない焦る気持ちなど
 次第に、香音は何も質問することなく、恵瑠からあふれ出るように話していた。

香音さんからポツン、ポツンともらう声にこたえていくうちに
「子どもと夫の関係」「忙しい」という気持ちに"執着”していることに気付き始めた恵瑠

子どもにキツク当たってしまうダメなわたし、
苦しいのに我慢して頑張ることが母親だ…と自分に無意識の中でも言い続けていること
限界が来ているのに、それでも頑張り続けていることは

当たり前でも、美しいことでもなく
自分に対しての暴力だという


幸いにも
夫や両親は優しく、気遣いをしてくれている
これは事実で感謝していることなのだ。
恵瑠は「習慣や行動を改善できることはしていこうかな」と思うようになってきた。

そして香音から
「誰でも本来は満たされた存在であり、足りていることを知ることは大切なんですよ。
 恵瑠さんが生まれてきた理由、目的…そんなことを感じていけると、楽になりそうですね。
深い孤独感も、『自分を生きて』いれば、孤独感はだれしも持っていることだと気にならなくなるのかもしれません」

色々話していると

・子どもの人生のサポートをしている自分の姿は嫌ではない
・未熟な幼児から、いずれ大人になっていく姿を見守ることの楽しみもあるものだし
 子どもはかけがえのない存在であることは確実
・自分が頑張ることは当たり前で、夫に介入してほしいこと、悩んでいることを、しっかりと話し合ったこともない
 「どうせ無理だ」と思い込んできたのは事実

頭の中が整理されてきたのだった

香音が数秘の観点からもみてくれた
1982年5月20日生まれの恵瑠は

もって生まれた才能は 「2」
人のサポート役が得意で、縁の下の力持ちと安定した癒しの存在。しかし自分のこととなると、周りの人を想うがゆえに流されてしまい、迷うこともある為、自分の心の奥深くで求める「本当にやりたいこと」を優先してあげることが必須。

そして
運命、才能や性格…人生そのものは「9」
こちらも人道主義で情にもろいタイプで、自分の本心を隠してまで人のために行動する№
深く考えすぎてしまう性格とあるが
しかし、№1~8までのすべてのものを持ち合わしているのが№9であり、完成を示している数字。

自分を成長させ常に循環し、周りに気持ちを添えながら貢献していく愛と平和を大切にしたひと。

このように教えてくれたのだった。

「でね、恵瑠さんがご家族や地域社会に頼ることは、依存ではなくそれも自立していく一つの方法だと思うんです、仕事や家庭内でのサポート役をもっと楽しく心地よく、幸せを感じながらできる方法を確立していけるんだと感じました。その姿がカリスマ性を生みさらに周りをまとめて行けるようにみえます」

そのように行ってもらえた恵瑠は、気持ちが軽くなっていた
とにかく、夫に話してみたい、私も変われえる気がしてきたのだ

香音がハーブティーを入れ替えてくれ、ホッとしながら落ち着いて飲むことができたのだった。


すると、ハーブティーと共に出してくれたのが、Universe10の№2と№9だった。

「目をつむってゆっくり深呼吸をしていきましょう」といい
しばらく目をつむり呼吸を誘導してくれた。

今日までのわたしの気持ち
話しながら感じたこと、気づいたこと
本来持つ自分の本質のようなもの

それらをまとめながら、話してくれた

「今後の恵瑠さんは、どんなご自分でありたいですか?それを想い浮かべて香りを嗅いでください」

そういうとフルーティフローラルのような、大人女性の優しさを感じさせる香りと

スッキリとした立ち上がりから、ぐっと奥にとどめてくれるような落ち着き差に変わってくる香りが
脳内に入ってきた。


「恵瑠さんの今の気持ちと融合する香りはどちらですか?」

「今のわたしには№2がしっくりきます」

この香りは


№2 MOON    ~ 月 ~

受け入れること、許すことであなたは豊かな人生を歩む

【サポート・協調・パートナーシップ・信頼・喜び】

「自分も仲間も尊重と信頼すること」
「心赴くまま表現していく」


笑顔が共鳴する香り №2

          あなたは、愛にあふれ優しいひと。周りの人と交わることで、より自分が見え成⾧し輝いていくことができます。



そう、今まさに成長のステージだったんだと感じられた恵瑠だった。

さらに、この香りには「オレンジスィート」がBlendされていることを知り、母や子供たちの笑顔が浮かんだ。


「試香紙等に1滴垂らしバックやお財布に入れ『今もこれからも上手くいく!』と香りを感じるたびに心へ送ってくださいね」


そういうと、香水瓶のような形をした試行紙と精油を袋に入れて恵瑠の手に乗せてくれた。


恵瑠は

受け入れる

自分に優しくする

自立する

本当の自分

そういったことが、少し理解できた気がした。


確実に来た時の自分は、ここにいないことに気付き、待っていた夫に微笑んだ。